Webメディア zinbun宣言

zinbun宣言

 zinbunは、人文学についての情報発信を行っていく人文学専門Webメディアだ。

 少なくとも、現時点で人文学に特化していると銘打っているWEBメディアは少ない。(かつてSocratesという人文専門のWEBメディアが存在していたようだが、もうURLも残っていない。今動いているのは、ゲンロンの人文ウォッチぐらいだろう)

 人文の名を冠するに恥じないように努力していきたい。

人文学、それは広い学問だ。平凡社「大学事典」では以下のように定義されている。

人文学は,広義には人類の文化的資料の生産・保存・解釈に関する学問の総称であり,狭義には自然科学や社会科学に対して,哲学・文学・歴史・宗教・言語・芸術などに関する諸学問を指す。

平凡社「大学事典」https://kotobank.jp/word/%E4%BA%BA%E6%96%87%E5%AD%A6-1344723#w-1344723

 zinbunでは人文学を自然科学以外の学問として扱う。社会科学も経済学も取り扱う予定だ。

 zinbunが目指すのは、人文学をより多くの人に広めることだ。人文学のアクセシビリティを上げ、もっと気軽にラフに、人文学を学べるようにしたい。

 zinbunのコンテンツは、その分野を知らない人でも十分面白く読め、ためになり、実際に入門書を手にとってもらえるようなコンテンツにしていきたい。人文学の深いコンテンツはネットにも数多く存在しているけれど、もう少しラフなコンテンツを増やしていきたい。

 タイパ、コスパと言われる時代に、ある意味その時代に逆行するように本を読んでほしい。このzinbunにはその願いが込められている。

 ちなみに、このメディアが「jinbun」ではなく「zinbun」と表記しているのには意味がある。

 zinbunの「z」はZ世代のための人文学をという意味が込められている。この時代に人文学が大切だと信じているからこそ、今の世代が人文学に興味を持ってほしい。

 zinbunには多くの人が協力してくれた。学部生から大学院生といった若い学生たちや社会人など幅広い人達が寄稿してくれることでこのzinbunが成り立っている。彼らには非常に感謝している。

 研究者のためだけのWEBメディアではなく、学生や在野の人たちでも楽しんでいけるのが人文学なのだと広めていくメディアにしたい。

 このWEBメディアは若いメディアだ。このWEBメディアを主催をしているのは20歳の学部生だ。正直人文学を学んでいる人からすると、そんな若造に何が出来ると思うかもしれないが、私は人文学の可能性を信じている。人文学の営みは世界を豊かにし、解決しがたい問題を解くためのヒントを与えてくれるものだ。

 zinbunが人文学に寄与するメディアになることを祈っている。

zinbun主催者 蓮見スイ

zinbunの経緯について ホンネ的なもの

 一応、最低限の理念的な文章は書いたので、少しラフにいこう。

 まず私について、自己紹介しよう。蓮見スイ、早稲田文化構想学部二年、20歳。関心領域としては、社会学、芸術、文化人類学等。幅広く、人文学が好きな学部生だ。そして少しプログラミングやWEBサイト制作など情報系が得意であるぐらいのよくいる学生だ。

 運営しているサイトだと、キンショー君というkindle unlimited紹介サイトがある。レーベルごとに一覧して見れるのが売りのサイトだ。

 私は不出来な学生なので人文学が好きであるけれど、人文学で名著とされる本を読んで挫折することも多かった(デュルケーム「社会分業論」、レヴィ・ストロース「野生の思考」、ホッブズ「リヴァイアサン」等)。原著を読むのは流石に難しいなーとなって解説書などを読んでみるけれど、それで分かるようになるときがあれば、それでも難しくて理解できないことがある。

 人文学には耐えが必要だ。分からないなとなったら、解説書を手に取り、それでも分からなければ別の解説書を読んだり、かなり時間がかかる。周りを見ても、レポートのときだけ本を読むけれど、普段からは本を読まない人が多かった。何か一つを知ろうとするなら、その情報の数倍の本を読まなくてはならない。

 さらに人文学はネットに情報があまり多く上がっていない。いろんな人の個人サイト、noteなどはあるけれど、一つのまとまったサイトはないだろう。何かを調べていて、この本が分かりやすかったよ、この本にまとまっていたよ、という情報は人伝てにしか広まっていない気がする。

 そういう情報を集積するだけでも十分に価値があるなと思っていた。そう思っていた時に、あるWEBドメインを見つけた。それがzinbun.jp。ドメイン維持費さえ払えば、誰でも取得できる状態にあった。

 最初、人文の名を冠するドメインがなぜ放置されてたんだと勘違いしていた。

 通例、人文はjinbunとローマ字表記される。一応、zinbunもローマ字として間違いではないのだけれど、この表記の揺れはローマ字の表記法の違いに由来する。

ローマ字の表記法は、ヘボン式と訓令式に区分される。日本ではヘボン式がよく使われ、人文はjinbunと表記される。訓令式はキーボード入力でよく使われるもので、人文はzinbunと表記される。

 私は、キーボード入力に慣れていたため、その勘違いに気が付かないまま、意気揚々とドメインを取得した。人文の象徴みたいなドメインが手に入って、少し小躍りをした。このローマ字表記の違いに気が付いたのはだいぶ後で、友人に指摘されて初めて気がついた。ちなみに後で調べたらjinbun.jpやjinbun.comはすでに取られていた。

 まあ、後から見ればZの方が目新しく良かったと思う。先ほど、Z世代のための人文という意味があると言ったが、後づけだ。(Zはアルファベットの終わりなので、コジューブやフランシス・フクヤマの「歴史の終わり」のように人文学が終わった世界に人文学をやる目的を模索するなどと書こうと思ったが、人文学は別に終わってなんかいないし不謹慎なので書くのはやめた)

 本当は、最初このドメインは数年間寝かしておこうと思っていた。実際、多くの人に学部生が人文学のWEBメディアを作るのは荷が重いと言われたし、面と向かってそんなメディアを作れるほどお前は人文学を知らないだろうと誹られた時もあった。実際その通りだ。

 それでもこうやってサイトを作ったのは、今のこの熱量が数年後にあるかどうか自信が持てなかったからだ。

 私は大学2年生で、これから就職するのか、大学院に行くのかも決めきれていない。文系の大学院は進路の不安があったりするので、就活するような気はする。けれど、就活した後メディアを作ってやろうという熱意があるのか、仮に大学院に行ったとしても研究をしている中で、自分の研究の時間を削ってまでメディアを作れるのか自信がなかった。

 おそらく研究者になれたとしても、きっと学部生の今とは責任が違うだろう。研究者になればなるほど軽率に人文学を発信できるWEBメディアなんて作れないし、そんなものに時間を費やすことはできないだろう。

 私は、人文学のWEBメディアというのは、良くも悪くも軽率に学問が好きだと発言できる、人文バカによってしか生まれないと思う。学部2年で、人文学の可能性と面白さに夢を見ている今しか作れないものだと思った。

 一人で人文学の記事を網羅的に書くことは不可能だから、寄稿を募集したところ20人近くの人が寄稿したいと言ってくれた。多くの人が、この学問が面白いんだよと言うためのメディアを探していたのだろう。本当にありがたい。

 こうやって長々と書いているのはある種の言い訳だ。学部生が主催しているメディアなので少しは多めに見てほしい、なんか若いやつが面白いこと始めたなぐらいに捉えてほしいと思うから、私自身の葛藤を書かせてもらった。

 このメディアの記事はあくまで専門の研究者が書いているのではなく、人文学が好きな在野の人や学生たちが書いている。もちろん正確性はなるべく担保したいが、限界はあるので適切な批判は受け入れるつもりだ。(記事の末尾に補足したり、公式Xでリツイートなど)

 人文学を学んでいる人の多くは、もっと人文学が広まってほしいと願っているはずだ。

 もっと声高らかに、人文学は楽しいんだぞ!!って言いたい。このメディアはそのためにある。

 

寄稿について

 このWEBメディアは多くの人の寄稿によって成り立っている。流石に、運営者が全て記事を書くのは労力が大きすぎるし、専門じゃないことを迂闊に書いて、間違いを広めてしまってはよくないだろう。

 ぜひとも、人文学が好きな人には寄稿してほしい。別に研究者じゃなくても、学部生、院生、社会人を歓迎している。

 収益が出るまで無償での寄稿になってしまうが、最終的には適切な原稿料を渡せるようになりたいと思っている。

 寄稿について、問い合わせのページにて要項を書いているので興味がある人はぜひ確認してほしい。

 寄稿についてはこちらから

投稿者プロフィール

蓮見スイ
zinbun運営者 早稲田大学文化構想学部
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